フランスの郵便局は、新しい切手が登場するたびに「公式郵趣品」を制作しています。
上の写真は Le Document philatélique (ドキュマン・フィラテリック)といわれているもの。
1987年に発行された紫キノコの切手。消印にNATURE DE FRANCE CHAMPIGNONSの文字。
ドキュマン・フィラテリックとは簡単にいえば切手解説書。
たいていA4サイズで、実物の切手をはじめ、フランス印刷局の浮き出し証印、記念消印、解説文で構成されている。
フランスの郵便局はこれら公式郵趣品を販売し、その収入で郵便博物館を運営しているそう。
このキノコのドキュマン・フィラテリックを求めたのはルーブル美術館近くのパサージュに店舗をかまえる切手専門店。ヴィンテージレコード屋風情のそのお店は、ドキュマン・フィラテリックをはじめ、古い切手をはりつけた封筒なども軒先に大量にひしめき、店主によると「日本のお客さんもいるよ。時々、頼まれたものを送るんだ」。
切手収集を好む人は、小さなアートとしての側面に魅力を感じる人も多いかも。
(なかには、資産形成という人もいるでしょう)
手のひらにのる小さな四角形の中にはその時代を象徴する人やものが描かれていて、その意匠の美しさにうっとりし、その切手が出回った当時のあれこれを想わせる。この切手がはられた葉書や手紙が世界のあちこち(あるいは隣町だったかも)を旅していたかと思うと、この切手という名の小さな通行手形が愛おしくなる。
それが自分の好きなテーマや関心のあるモティーフであればさらに思い入れも深く^^;
郵趣の歴史は約170年前のヨーロッパが発端といわれる。
切手収集の歴史をWikipediaから引用。
世界最初の切手、イギリスのペニー・ブラックと2ペンス・ブルーが発行された直後からその収集は始まったといわれる。 この翌年、1841年にロンドンの「ザ・タイムズ」紙に、使用済み切手を自分の化粧室の壁紙にしたいが、手持ちの1万6000枚ではとても足りないので提供願いたい、との内容の広告が掲載された。これは切手収集なる行為を確認できる最古の事例とされる。
「切手を化粧室の壁紙にしたい」とある。この広告を掲載した人もまた、切手が装飾にふさわしいアートだと感じていたのでしょう。(しかし、こんな広告を打つなんて、なかなか粋なこと!)『日記 ヨーロッパ浮わ気ドライブ: 広告マンがクルマで走った1957年の欧州』が書かれた1957年にはどんな切手がフランスに出回っていたのでしょうね。
余談ですが、日本では1950年代頃から1960年代にかけて、切手がグリコ商品のおまけに採用されていたとか。このおまけ、リバイバルしないですかね!?
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