美しい年季を感じる東京ステーションギャラリー

ステーションギャラリー1_R

東京丸の内駅舎にあるアート空間、東京ステーションギャラリー。
ここは丸ノ内北口の美しい吹き抜けのドームのそばにあります。

東京丸の内駅舎が創建されたのは1914年。
当時は「中央停車場」とよばれていました。
全長約335メートル、幅約20メートル、尖塔部を含む高さは約45メートル。
設計は日本銀行や奈良ホテルの建築でも知られる「日本近代建築の父」辰野金吾。

ステーションギャラリー3_R

重厚感のある赤れんがの建物は、国の重要文化財に指定されています。
ステーションギャラリーは東京駅の復元工事に伴い、一時休館していましたが、2012年10月に再スタートをきりました。

ちょうど、開催されていたのは、没後30年の鴨居玲の回顧展「踊り候え」

鴨居玲の東京での大規模な展覧会には25年ぶりで、多くの鑑賞者の姿が。
彼が他界してから、ずいぶん暦を経ているのに、さすがの人気ぶり。

会場では思いがけず、鴨居玲と広島(ひろしま美術館)とのつながりを知ることになり、親しみを感じてしまいました。

彼もまたスペインやフランスに滞在し、ひたすら画業を磨き続けてきた人。
とくに彼のデッサンに惹きつけられる人は多い。

あの、命をそのまま差し出しているかのような迫力にゾクゾクしてしまう。

生前の彼は指にデッサンだこのない画家は画家と認めないと言っていたほど、デッサンにたいして人一倍思い入れが深く、著名になってもデッサンを欠かさなかったとか。

その作品もさることながら、彼自身も人を魅了する御仁だったよう。

鴨居玲は没後、伝説の画家になったのではなく、生前から彼は伝説の人だった。彼に接した大抵の人は彼の不思議な磁力に魅入られ、誰もが彼に会いたがったようだ」とは彼の画商であった長谷川智恵子さんの著書『鴨居玲 死を見つめる男』に寄せた横尾忠則の書評の言葉。

パリで鴨居玲の個展を開催した時には、フランス大統領を務めた故ミッテラン氏も作品をお買い上げになっている。

ステーションギャラリー4_R

最終の展示室を出て、休憩室を過ぎると、そこは丸ノ内駅舎北口のシンボル、ビクトリア調のドームが。

意匠が気品を感じさせる八角形のドーム。
「威風堂々」という言葉がふさわしい空間。
壁には12支のうち8つがレリーフとして飾られています。
このドームの屋根の一部には、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市の雄勝産「天然スレート」を用いているとか。

さて、この駅舎を改修費は約500億円かかり、その費用の大半をまかなった方法が「空中権」の販売でした。

JR東日本が東京駅の駅舎を新しくするとき、容積率900%のうち700%分の空中権を売り、改修費約500億円の大半をまかなった手法だ。 (朝日新聞デジタル 「首都高改修、「空中権」の売却構想 民間資金の活用案」より 2013/05/08 05:44)

 空中権とは簡単にいえば、土地の上にある空間も地上の土地所有権があり、他の土地へ移転する権利。
東京駅の改修では、駅舎を低い高さにすることで空中権の販売が可能になったそうです。

ステーションギャラリー2_R

ただし、この空中権が適用するのは、「特例容積率適用区域」に指定されている場所のみ。
※現在「特例容積率適用区域」に指定されている場所は、大手町・丸の内・有楽町地区。

行き交う人の姿が途切れない東京丸ノ内駅舎。
忙しいとつい通過するだけになってしまう駅舎のかたすみに、文化の匂いが息づくアート空間があるって素敵。

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