新国立競技場設計案のザハ・ハディドによるソウル・東大門デザインプラザ

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長らく議論の的となっていた東京五輪・パラリンピックのメイン会場として使われる新国立競技場建設案。
安倍首相は7月17日に「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと決断した」と言明しました。

焦点となっていたのは、英国在住・イラク人建築家、ザハ・ハディド(Zaha Hadid)設計の新国立競技場建設案。
斬新なデザインが「巨大な自転車用のヘルメットのよう」と不評だったほか、激しい議論に展開したのは約2500億円に高騰した建設費用。
また、解体作業の遅れなどの問題も浮上していました。

参考までに。
近年開催されたオリンピックのメインスタジアムの建設費を紹介すると、

2004年アテネ「オリンピックスタジアム」 建設費355億円(修繕費)
2008年北京 「北京国家体育場」建設費513億円
2012年ロンドン「オリンピックスタジアム」建設費900億円
2016年リオデジャネイロ「エスタジオ・ド・マラカナン」建設(リノベーション)費550億円

これらと比較してみると、東京のメインスタジアム建設費がいかに天文学的数字があるかがわかります。
建築に用いる資材の高騰といった理由もあるかもしれません。

おそらく複雑な内訳であろう、建設費についてはさておき。
コンペで選ばれたデザイン自体を白紙に戻したことは今の時点で正解なのかどうかはわかりませんが、新たに採用するスタジアムの建築は、東京五輪開催後も人を呼べるものであってほしいものです。

さて、新国立競技場のデザインをめぐり、長らく渦中の人だったザハ・バディドですが、
おとなり韓国・ソウルにも作品があり、注目を集めています。

それが昨年3月に開館した東大門デザインプラザ(DDP)
東大門付近を歩いていると、突如としてスペイシーな建物があらわれ、目を奪われてしまいました。
不時着陸した巨大UFOと見まごうほどの奇抜なデザインは曲線にふちどられ、無機的な印象。

余談ですが、ザハ・ハディドはスーパーモデル、ナオミ・キャンドルのモスクワの邸宅を設計していますが、それは宇宙船のステーションのよう。

これが全景です。

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東大門市場は韓国一の服飾の街。
昔ながらの問屋と近代的な巨大ファッションビルが共存し、国内外のファッション関係のバイヤーたちが深夜まで出入りし、明け方まで営業する店も珍しくありません。

このDDPはアートの展示や大型イベントスペースとショッピングモールで構成される文化複合施設。
開館後、シャネルの2015/16クルーズコレクションショー、クリスチャン・ディオールの「エスプリ・ディオール」展といった世界的なブランドのファッションショーや展覧会も開催されています。

ザハ・ハディドの建築に関しては賛否両論あるようですが、注目すべき点は東大門市場周辺の流動人口が20%も増え、このあたりの商圏を活性化を助長させたというデータが発表されたことでしょう。

訪れたのは、開館して1年以上たった頃。
実際に足を踏み入れると、ご家族連れ、カップル、友人同士、グループなど、地元の人が多く集まり、かなりの賑わいで、ソウルにこの建物が定着しているのだな、という印象。

展示スペースの棟の最上階へ。天井が高くて開放的。DDP12image_R

 

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移動は木の階段を使うこともできるけれど、スロープもあり。
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消火器の目隠しにデリカシーを感じる。DDP9image_R

 

 

スロープの途中に出店しているデザインストア。
韓国のデザイナーのプロダクトがそろっている。SANYO DIGITAL CAMERA

 

案内の表記はハングルをはじめ、中国語、英語、日本語。スロープの途中にはところどころにデザインチェア(ソファ)が置かれ、憩いの場に。DDP6_R

デザインマーケットにあるカフェ。DDP11image_R

 

一躍、東大門市場のランドマークとなったDDP。
奇抜な外観デザインとはウラハラに、有機的な空間が広がっている施設。
百聞(感)は一見にしかず、ですね。

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