2015年もそろそろ終わろうとしています。
今年も本サイトをご覧いただきまして、ありがとうございました。
今年最後の記事はディズニー映画やミュージカルで知られるファンタジー映画『美女と野獣』について。
ディズニーのアニメーションの印象が強いせいか、アメリカ映画だと思われている方もいるようです。
が、実はこの作品はフランスで生まれたもの。
フランス語の原題は『 La Belle et la Bête』といい、1946年に初公開されました。
この映画はフランスの詩人ジャン・コクトーがマリー・ルプランス・ボーモンの原作を自ら脚色し、メガホンを握ったもの。
監督を務めたジャン・コクトーはじめ、ベル役にはジョゼット・デイ、そして野獣役のジャン・マレーといった当時のフランス映画のスターたちが集結しています。
驚くのは第二次世界大戦(1945年終戦)から1年後に公開された作品であること。
コクトーは戦後間もない頃に制作したこの作品について日記を残しています。
『美女と野獣 ある映画の日記』(秋山和夫訳、筑摩書房)。
戦後のフランスも物資は豊かではなかった頃。
まだ読んでいませんが、映画のセットに用いる道具や調度品、衣装生地の調達についてなど、当時のフランスの映画の現場はどんなだったのでしょう。そして、コクトーの着想や映画全般の意匠について、大変興味あります。
さて。『美女と野獣』のストーリーですが、
孤独に暮らす野獣の園から薔薇を摘んだことによって死刑宣告されるのはヒロイン・ベルの父親。「助けて欲しけりゃ、娘を差し出せ」と野獣は迫ります(;_;)
「父をかえして!」と懇願するベルに惹かれた野獣は結婚を申し込むものの、彼女は拒絶。
野獣はベルが家族のもとに戻ることを許すけれど「1週間以内に戻らなければ父親を殺す」と告げる。
そして、最終的に野獣に魅かれるベル。彼女の愛を受け、魔法が解き放たれた醜い野獣は元の美しき王子に戻る\(^o^)/!
という、ハリウッド映画に見られるように「起承転結はっきり」道な作品です。
ディズニー映画のストーリーとほぼアウトラインは同じかと。
作品の根底にあるのは「人を外見で判断してはならない。心を見よ」というテーマ。
ベルの愛によって野獣にされた王子の魔法が解けて、元のステキな王子様に戻るというストーリーは今もなお、世界にロマンティックの種をまき続けていますね。
この作品は才人コクトーが監督しただけあって、美術や衣装にも注目したいところ。
野獣の暮らす屋敷、園、ゴージャスな衣装・・・モノクロの画面でもその芸術性がひしひしと伝わってきます。
モノクロ映画がお好きなら、お正月休みにこの作品に浸ってみてはいかがでしょうか。
それでは皆様、良いお年をお迎えください。
2016年がハッピーで笑顔がはみ出んばかりの年でありますように(^^)
『美女と野獣』トレーラーはこちら↓
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